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ワサビの辛さの正体

ワサビの辛さって唐辛子とは違ってまた独特ですよね。あのツンと鼻に抜ける刺激はどこからやってくるのでしょうか?

シニグリン

唐辛子の場合はカプサイシンという物質が舌の痛覚神経を刺激して辛味を感じさせます。カプサイシンは、今では健康飲料などにも含まれている場合がありますので、ご存知の方も多いと思います。
一方、ワサビの辛さの素はシニグリンという物質です。このシニグリン、それ自体では苦みはあるものの辛味はありません。どのようにして辛味が出るかというと、ワサビをすりおろしたり細かく刻んだりすると、細胞が壊れ、中に含まれるミロシナーゼという酵素が出てきます。これがシニグリンと反応してアリルイソチオシアネートという辛味物質が生成されます。この物質は揮発性なので、食べると鼻に抜けて涙が出てきます。この鼻に抜ける感じが、辛さにつながります。
揮発性というだけあって、すりおろしたあとこの成分はどんどん逃げていきます。やはりおろしたてがワサビらしさを一番楽しめるわけです。

辛くないのに辛い、それがワサビなのです。

サリシン

似たような話をもう1つご紹介します。皆さん、ヤナギという植物に鎮痛効果があることはご存知でしょうか?昔から、ヤナギの枝で作った楊枝や歯ブラシをつかうと歯の痛みがとれると言われていたり、西洋でも痛みの治療に使われてきました。

ヤナギには鎮痛効果の素としてサリシンという物質が蓄えられています。サリシン自体には鎮痛効果はなく、すりつぶされるなどの刺激を受けてサリチル酸という物質に姿を変えます。このサリチル酸こそが鎮痛消炎作用の正体で、研究の結果アセチルサリチル酸(アスピリン)、サリチル酸メチル(湿布薬の主成分)が開発されてきました。

このよに植物体内の物質は刺激によって様々に姿を変え、それを人間は利用しています。それにしても、痛みを感じさせたり和らげたり、色んな場面で植物にはお世話になっていますね。