「キノコとカビは仲間だ」と、聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
今回は、キノコとカビは同じものなのか?はたまた違うものなのか、もしそうであれば何が違うのか?
ということについて、ご紹介します。
キノコとカビは仲間なのか
結論から言うと、基本的には同じものであり、仲間と言えます。
まず、勘違いされがちなのですが、キノコは植物ではありません。分類としては植物界・動物界にならぶ「菌界」に属す、菌類の一種になります。そしてカビも同様、この菌界に含まれる菌類です。したがって、少なくとも同じ枠の中に属するもの同士だということは分かりました。とはいえ、「形が全く違うのだから、別物であって、同じもの・仲間とは言い過ぎなのではないか」と言いたくなります。
ですが、キノコとカビは想像以上にちかしいものです。それは、両者の生き方がとてもよく似ているからです。
姿かたちは違っても、生き方は似ているキノコとカビ
カビといえば、糸が集まったような姿を想像されるかと思いますが、あれがいわゆる「菌糸」です。この菌糸を成長させ、やがて「胞子」を作り、それを飛ばして繁殖します。これがカビの生き方です。
では、生き方が似ているというのであれば、キノコにもカビと同じように菌糸があるのでしょうか。実はあります。キノコは、木や土の中にこの菌糸を張っています。ある意味この地表に出ない菌糸が、キノコの本体とも言えます。
それでは、いわゆる「キノコ」として食料品店などで売られているあの部分は何かといいますと、胞子を作るための「子実体」と呼ばれるものです。つまり、タンポポが花を咲かせて種を撒くように、いくつかの菌類は子実体としてのキノコを作り、胞子を撒くのです。
以上をまとめると、キノコとカビの違いは、胞子を作る器官が、キノコの場合は肉眼で見える程に大きくなり、カビは大きくならないという点だけであり、その他はほとんど変わりません。実のところ「キノコ」という名前も、菌類のうちでも比較的子実体が大きいもの、あるいはその子実体自体につけられた俗称なのです。したがって、キノコとカビは根本的に、似たもの同士の菌類です。例えるならば、親戚といったところでしょうか。
もちろん動物でもなければ、植物界にも属さず、厳密には野菜ですらないキノコ。興味の尽きない食材です。