遺伝子組換え植物の失敗例

遺伝子組換え作物に関しては様々な議論がありますが、成功している例も多数あります。今回は、人体に悪影響はないものの、残念な結果、失敗に終わってしまった組み換え作物を1つご紹介します。

イナゴ対策

アフリカのある地域の小麦農家は、毎年大量のイナゴに悩まされていました。
この問題を解決するために、マメ科植物に含まれるトリプシン阻害剤を作る遺伝子を小麦に導入する試みがなされました。トリプシン阻害剤は昆虫など外敵にとっていわば毒となる物質で、この物質を植物体内に持つことでマメ科植物は自身を守っています。小麦にもこの物質を合成する能力を持たせることで、イナゴに負けない品種を作ろうというのです。小麦への遺伝子導入にはかなり高度な技術が必要なのですが、なんとか成功させることができました。実際にトリプシン阻害剤が作られていることを確認し、それがイナゴの幼虫に効果的であることの実験室で確かめられました。

遺伝子組み換えは成功、しかし・・・

そして満を持して実際の農地でこの品種が作付けされました。しかし失敗という結果になってしまいました。

このトリプシン阻害剤はイナゴの幼虫には効果があったものの、成虫には全く効きませんでした。例年のようにイナゴの成虫の大群が押し寄せ、小麦を食べ尽くしていってしまったのです。
事前の調査不足もありますが、やはり現場でやってみなければわからない、それがこの事例からわかりますね。