ウィルス感染と聞くとネガティブなイメージがありますが、ウイルスに感染した植物が人間にとって意外な価値を持つものとなることがあります。
チューリップ・バブルという事件をご存知でしょうか。
これは1637年にオランダで起った世界初のバブルです。この時期はオスマン帝国から輸入された珍しい模様のチューリップに人気が集中し、その人気に便乗した投機家の参入もあり、異常な高値がつきました。球根1個に現在での数千万円といった値がつけられ、豪邸1つと交換できる程でした。しかし、バブル崩壊の日は突然訪れました。価格が100分の1に暴落し、オランダ全土をパニックに陥れたのです。
実はこの珍しい模様は、球根に付着したウィルスによって引き起こされた病的な症状であったということが、この30年後に判明しました。病気ですので通常のチューリップと比べて寿命が短くなります。
人々を狂気に走らせたチューリップの美しさの裏側には、どこか儚くも哀しい事実があったのですね。