植物が外敵から身を守る手段は様々ありますが、今回は他の生物に助けを求める方法についてご紹介します。
植物には、外敵にかじられると特殊な化学物質を出すものがあります。この化学物質は害虫の天敵となる生物を呼び寄せ、害虫を退治してくれるため、「SOS物質」とも呼ばれます。
具体的な事例をいくつか挙げましょう。トウモロコシはハムシの幼虫が根を食べ始めると、テルペノイドという物質を根から分泌し、ハムシに寄生する線虫を誘因します。ワタの葉をヨトウムシ(芋虫)が食害すると、ここでもSOS物質が分泌され寄生バチが呼び寄せられます。このSOS物質は単に植物に傷がつくだけでは分泌されず、傷口にヨトウムシの唾液がつくことで初めて出てきます。
問題となる害虫の種類に応じて、違った物質を出すことも知られています。
農業での応用としては、SOS物質を出さない作物を栽培する場合に、SOS物質を分泌する植物と一緒に育てることで、害虫から作物を守るといった対策が考えられています。
化学農薬の使用量を抑えたい場合などには有効に利用できそうです。
それにしても自分のボディーガードまで持っているなんて、植物はすごいですね。