ブドウと一口に言っても、その種類は非常に多くおよそ10,000種にもなります。
それらは大別すればヨーロッパ種、アメリカ種の2つに分類することができ、ヨーロッパ種は主にワイン用に、アメリカ種は主に生食用に、それぞれ栽培されています。
ブドウの種類
ワイン用のお話の前に、ブドウそのものの種類と、特徴をご紹介します。
ヨーロッパ種
- 生食用に比べて粒が小さい
- 酸味が強く、糖度が高い
- 乾燥に強いが雨、病害虫、寒さに弱い
- 代表的な品種:カベルネソーヴィニヨン(赤)、ピノ・ノワール(赤)、シャルドネ(白)、ソーヴィニヨンブラン(白)
アメリカ種
- 特有の甘い香りをもつが風味で劣る
- 寒さ、病害虫に強い
- 湿った気候でも育つ
- 代表的な品種:コンコード
ブドウの品種の特性が、ヨーロッパ種がワイン用に、アメリカ種が生食用に用いられる理由である事がご理解いただけると思います。ヨーロッパ種の、酸味や糖度の高さはワインの味の奥深さを追求する為には必須ですし、粒の小ささは皮や種の比率が大きいことにつながりワインの香りを生み出すのに適していると考える事ができます。
一方のアメリカ種は、やはり風味の面で劣るという点でワイン用には向かないとされています。したがって生食用やジュースの原料として主に利用されています。またフォクシー香とよばれる独特の香りがワイン専門家らには好まれないようです。
ワイン用ぶどうの生産量
世界で生産されるブドウの80%近くがワイン用です。日本では、この状況が一変します。実は、日本で生産されるブドウの80%が食用です。湿潤な気候の日本では、雨や湿気に弱いヨーロッパ種のブドウが育てられなかったことによるものです。
最近では研究による品種改良などで日本の気候に適応したワイン向けブドウの栽培も可能になってきています。例えば、「日本のワインの父」こと川上善兵衛氏の開発したマスカットベリーAという種は、寒さと多湿に強いという特徴を持ち、生食のみならず醸造にも使えるために日本の赤ワイン生産において地位を築いています。
このような努力による進歩もあり、日本特有の種によるワインの生産が今後ますます発展していくことが期待されています。