日本一美味しいサクランボ「佐藤錦」

山形県は日本一のサクランボの産地です。国内出荷量の7割を生産しています。
その山形産さくらんぼの中でも8割を占める(つまり全国出荷量の50%以上を占める)のが、「佐藤錦(さとうにしき)」です。
ツヤ、ハリ、色、甘さ、ジューシーさ。どれをとっても最高品種と言われます。またその美しい見た目から「赤いルビー」とも呼ばれます。生産量、知名度ともに日本を代表する品種であり、お祝いごとの贈り物としても非常に人気があります。

甘くて丈夫な佐藤錦が出来るまで

佐藤錦は山形県東根市の佐藤栄助氏が作り出した品種です。もとはしょうゆや味噌づくりを家業とし、その傍らで趣味として果樹栽培を行なっていた栄助氏でしたが、父の死や事業での失敗を機に、本格的に果樹栽培をはじめます。

栄助氏が品種改良に乗り出した1910年代、2つの課題がありました。ひとつは雨による実割れです。これはサクランボの収穫期が、ちょうど梅雨の時期に重なるからです。もうひとつは長距離輸送による質の低下です。当時はまだ輸送方法が未発達だったため、鉄道による長距離輸送を使わざるをえませんでした。彼はこれらを解決するために、梅雨に重なる前に「早く実り」かつ長距離輸送に耐える「実の固い」「甘い」サクランボを作ろうと考えたのです。

目をつけたのは、実は丈夫でも実りの遅いナポレオンと、実りは早く甘いけれど実は柔らかい黄玉。そこで、それぞれの長所のみを生かす交配手法を編み出しました。こうして実った粒は見事に、ナポレオンのように実が固く、黄玉のように甘いものとなりまし。また収穫時期も従来のナポレオンの収穫時期よりも1週間ほど早くなったのです。
その後、優秀な種として全国へと普及し、今ではサクランボの王様としてのブランドを確立しています。

ネットで新鮮なサクランボをお取り寄せ

佐藤錦が販売されているのは主に大手百貨店や高級果物店などです。他にお買い求めになる方法として、今では各地のサクランボ農家からネット注文でお取り寄せができるようになっています。なお今の時期は、6月の収穫時期を前に予約受付を行なっている農家も多いようです。収穫したてのものが届くので、産地直送ならではの新鮮さも楽しめそうです。今年の旬の時期に、ぜひ一度味わってみたいものです。