米、小麦とならんで、世界三大穀物とされているトウモロコシ。
最近では、再生可能エネルギーであるバイオエタノールの原料としても注目をあつめています。
輸入が大半といわれていますが、日本国内でも生産されています。
生産量一位は、北海道。基本的には広大な土地で集約的に栽培されます。
実際に、世界の生産国は上から順にアメリカ、中国、ブラジルとなっています。また、このうちアメリカはおよそ4割も生産しています。
「玉蜀黍」
玉蜀黍、実はこれが「トウモロコシ」の名前の正式な字です。この字があてがわれるまでには、ちょっとしたドラマがありました。
まずは、「モロコシ」について。
中国にはもともと「モロコシ」という、「トウモロコシ」とは別の、植物がありました。その後1579年、ポルトガル人により日本に持ち込まれた今の「トウモロコシ」が、この中国からやってきた「モロコシ」によく似ているキビ(黍)だということで、「モロコシキビ(唐黍)」などと呼ばれるようになります。
続いて、「トウ」について。ここから少々ややこしくなってきますが、しばしお付き合い下さい。
これは単純に唐(=中国)から来た、というだけではありません。その「モロコシキビ」が持ち込まれた当時、日本では新しく入ってきたものに「唐」という字をつける習慣がありました。そうすると、どういう事が起こるでしょうか。
字を並べてみると、「唐」+「モロコシキビ(唐黍)」=「唐唐黍」となってしまうのです。これではおかしいということで、「唐」を一つだけ三国時代の一国「蜀」の字に変え、「唐蜀黍」と書くアイデアが出されました。しかしいずれにせよ、国の名前が2つ連続してしまうので不自然です。
このような紆余曲折があり、悩んだ末に発案されたのが、「玉蜀黍」という字でした。これは「玉」のような粒を持つモロコシキビ(蜀黍)という意味が込められています。正式な色のひとつに「玉蜀黍色」というものがありますが、これは「トウモロコシの実のような赤みがかった鮮やかな黄色」のことを指します。日本の伝統色とされており、この漢字と色との対応にも趣きを感じます。
さまざまなニックネーム
トウモロコシの面白さは、漢字の由来だけではありません。なんと呼び名が200種類以上もあるのです。
全部は挙げきれませんが、そのうちいくつかをご紹介します。
- きび 北海道札幌市、長野県南部、鳥取県、高知県など
- とうみぎ 宮城県、福島県、栃木県、茨城県など
- とうまめ 新潟県上越地方、長野県の一部など
- こうらい 岐阜県の一部、福井県の一部、三重県の一部、滋賀県の一部
- なんばん 愛知県東部、京都府北部、山口県東部など
- とうとこ 島根県北部など
- さんかく 熊本県の一部
- まごじょ 宮崎県の一部
- うらんだふいん 沖縄県竹富島
- やまととーんちん 沖縄県首里
このように、地域によってまったく名前が異なっています。どうしてその土地では、その呼ばれ方をするのか?これらの由来を一つ一つ紐解いてみると、また興味深い発見があるかも知れません。